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『RHYTHM OF THE GAMES 1996 OLYMPIC GAMES ALBUM リズム・オブ・ザ・ゲームズ』 LaFACEのお膝元であるアトランタで開催されたオリンピックを記念して制作されたサントラ(1996年作品)

概要

アトランタオリンピックについて

アトランタオリンピックは、1996年の7月19日から8月4日までの間に、アメリカのアトランタで開催されたオリンピック。アトランタ五輪なんて呼ばれ方をしてた。近代オリンピックが開催されてからちょうど100周年にあたる年だったり、それまで夏季と冬季のオリンピックが同じ年に行われてたのを、別々に開催することになってから初めて行われた夏季オリンピックだったりと、なかなかモニュメンタルな大会だったアトランタ五輪。

アトランタの他に、アテネ・トロント・メルボルン・マンチェスター・ベオグラードが開催候補地として挙がってた都市。100周年だしやっぱアテネがいいんじゃない?なんて話もあったけど、投票を重ねて最終的にアトランタに決定。でもこの結果、オリンピックの超ビッグスポンサーであるコカ・コーラ社の本社がアトランタにあったからじゃないか、なんて言われたりしたらしいけど真相は不明。おそらくただの偶然。

エンタメ大国のアメリカらしく、開会式も大スペクタクルだったアトランタ五輪。アカデミー賞やスーパーボウルのハーフタイムショー、数え切れないくらいの数のコンサートを手掛けてきた演出家のドン・ミッシャーがプロデュースして、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズがテーマ曲を担当。最後の最後まで秘密にされてた聖火の点火者はモハメド・アリ、パーキンソン病だった彼が震える手で点火するシーンは胸が熱くなった。

開会式にはグラディス・ナイトやセリーヌ・ディオン、閉会式にはこのアルバムにも収録されてる「Reach」を歌ったグロリア・エステファンなど登場したアーティストも豪華。閉会式の音楽を担当したのは映画音楽家としても有名な作曲家のマイケル・ケイメン、彼と奈良の東大寺のイベントで知り合った布袋寅泰も派手なギターと衣装で登場してる。

サントラについて

LaFACEだからベイビーフェイスの名前がいたるところにあるのかと思いきや、プロデューサーとして1曲だけの参加にとどまり、あとはエグゼクティヴプロデューサーに名前があるのみ。収録アーティストは主にR&B系のアーティストだけど、サックス奏者のケニー・Gやラテン系シンガーのグロリア・エステファンもいたり、作家陣もウォルター・アファナシェフやダイアン・ウォーレンの名前があったりしてなかなか幅広くて面白い。

オリンピックを記念して制作されただけあって、アスリート賛歌みたいな内容の曲が多い。「夢」とか「勝利」みたいな言葉がキーワード。カバー曲も多数収録されていてどれも名曲、そしてそこはかとなくオリンピック理念に基づくような曲っぽい(思い込みか)。

世の中には色んなタイアップがあるけど、よくよく考えるとオリンピックとタイアップってすごいアルバムだよね。世界規模のタイアップだけど、そう考えるとアルバムの内容は薄い。オリンピックを口実に当時の流行りだったR&Bのコンピを作って売ってみた、みたいな感じもあるけど、色んなカバーがあったりアルバム未収録の曲があったりとコンピとしては上質。

トラックリスト

  1. Tevin Campbell – “The Impussible Dream”
  2. Mary J. Blige – “Everlasting Love”
  3. Brian McKnight – “Reaching For My Goal”
  4. Corey Glover – “Imagine”
  5. Usher – “Dreamin’ “
  6. Kenny G – “The Champions Theme”
  7. Soul For Real featuring Monifah – “You Gotta Belieave In Love”
  8. Gloria Estefan – “Reach”
  9. K Ci Hailey – “Wild Flower”
  10. Tony Rich – “You’re A Winner”
  11. Jordan Hill – “What Am I Doing Here”
  12. Boyz II Men – “Star Spangled Banner”

トラックリスト詳細 

Reach

ダイアン・ウォーレンと共作したオリンピック公式テーマソング

キューバ系アメリカ人のグロリア・エステファン、ラテン系女性シンガーとしてはパイオニア的存在。俳優としても活躍してて、テレビドラマ「glee」にサンタナのお母さん役で出てきたときは驚いた。数あるオリンピックソングの中で名曲と呼び声高い⑧、さすがダイアン・ウォーレン。そして事故で瀕死の重傷を負って復活したグロリア・エステファン、彼女がこういう力強い内容を歌うとやはり説得力が違う。閉会式で歌う彼女の姿も美しかった。

The Impussible Dream ②Everlasting Love ④Imagine ⑨Wild Flower

人気アーティストによる珠玉のカバー曲たち

今回のアルバムで唯一ベイビーフェイスがプロデュースした①、ベースはネイザン・イーストでピアノはグレッグ・フィリンゲインズといういつもの鉄壁の布陣。歌うは人気者テヴィン・キャンベル、サントラではお馴染みのアーティスト。原曲はミュージカル「ラ・マンチャの男」で歌われたナンバーで、邦題は「見果てぬ夢」。カバーしたアーティストは多数、R&Bでいえばルーサー・ヴァンドロスのヴァージョンもおすすめ(アルバム「Songs」に収録)。

メアリー・J・ブライジが歌う②も人気のある楽曲で、オリジナルはルーファス・フィーチャリング・チャカ・カーン。「Sweet Thing」に続き、メアリーが彼らの曲をカバーするのは2回目。チャカとメアリーが「Sweet Thing」をデュエットしてるお宝映像もある。プロデュースはジェームズ・エムトゥーメ、サンプリングソースとして有名な「Juicy Fruit」を歌ったエムトゥーメイの主要メンバーだった人。

コリー・グローヴァーって誰よ、って思ってたら黒人ハードロックバンドのリヴィング・カラーのメンバーだったと知る。リヴィング・カラーの時とヴォーカルの印象が違い過ぎて分からなかった③、オリジナルは言わずもがなジョン・レノン。オリジナルに忠実なアレンジでプロデュースしたのはオーガナイズド・ノイズ、この曲は変にいじれないよね。

ジェイソンズ・リリックでボビー・ウーマックの「If You Think You’re Lonely Now」をカバーして好評だったジョデシィのケイシー、同じ路線でカバーした曲が⑨。オリジナルはカナダのブルーアイドソウルバンドのスカイラーク、ニュー・バースのヴァージョンの方が有名だからそっちがオリジナルと思われがちだけど、本家はスカイラーク。ほんとに人気のある曲で、マリーナ・ショウやオージェイズ、カラー・ミー・バッドもカバーしてる。プロデュースは②と同じくジェームズ・エムトゥーメ。

Dreamin’  ⑩You’re A Winner

LaFACE所属アーティストで当時は新人だったふたり

1994年にファーストアルバムをリリースしたもののチャートでの成績はイマイチ、でもレーベルからの期待値は高かったアッシャー。後にジャーメイン・デュプリとベイビーフェイスがプロデュースしたセカンドアルバムで、スターへの階段を上っていくことになる。⑤をプロデュースしたのは、同じR&Bシンガーのジョー。聴いた感じだとラブバラードっぽい雰囲気だけど、実はすごくアスリート賛歌な歌。全然そんな歌には聴こえない、ジョーにプロデュースさせたのは失敗じゃないか?

トニー・リッチ・プロジェクト名義で1996年1月にデビューしたばかりで、こちらもLaFACE期待の新人だったトニー・リッチ。その期待にこたえてデビューアルバム「Words」は大ヒット、1997年グラミー賞の最優秀R&Bアルバム賞まで受賞してる。その大ヒットのもとになったシングル「Nobody Knows」の、アコースティックな雰囲気とは全然ちがうタイプの⑩。全然違いすぎて「Nobody Knows」の人って認知されなかったんじゃなかろうか。

What Am I Doing Here

デヴィッド・フォスターが手掛けた女性アーティスト

マライア・キャリーと似たようなボーカルスタイルのジョーダン・ヒルが歌う⑪、プロデュースは彼女を発掘したデヴィッド・フォスター。1988年のカルガリーオリンピックの公式テーマ曲だった「Winter Games」の印象が強かったから、デヴィッド・フォスターとオリンピックって相性良いんだなーなんて思ってたけど、⑪もアスリートを励ますような内容でアレンジもグッとくる。ジョーダン・ヒルの歌いっぷりも良い、隠れた名曲。

Reaching For My Goal ⑥The Champions Theme

アルバムでオリンピックに最もふさわしいであろうタイトルの曲たち

信じていればきっとゴールにたどり着ける、っていう色んな歌で100万回くらい聴いたことがあるような内容だけど、スポーツをやる上では基本理念なのかもしれないなーなんて思いながら聴くブライアン・マックナイトの③。もっと壮大なバラードで攻めてくるかと思ったけど、意外と地味な仕上がりの曲。まあブラマクさんらしい曲といえばそうなんだけど。

最初の一音からケニー・Gの曲だって分かりそうな音色、そして閉会式とかで使われそうな雰囲気の曲の⑥(ハイライトの映像のバックに流れてそう)。みんなこれくらい分かりやすい感じにすれば、オリンピックコンピ感が強まっていいのにね。ケニー・Gのこの感じが嫌いって人もいるんだろうけど、やっぱりしっくりくるよオリンピックとかには。

You Gotta Belieave In Love ⑫Star Spangled Banner

コーラスグループも二組が参加

プロデューサーとして手腕を発揮してたヘヴィー・D、彼が手掛けたアーティスト二組がコラボで登場。ソウル・フォー・リアルは1995年3月、モニファは1996年3月にアルバムデビューしたばかりだったけど、二組ともアルバムをヒットさせてる。勢いがあった二組だし曲のクオリティも高い、なかなか良いコラボの⑦。いつも思うけど、ヘヴィー・Dって素敵な曲書くよね。

オリンピック記念アルバムに、国歌をぶち込んでくるなんてさすがアメリカだなーなんて思った⑫。歌うはコーラスブームの立役者であり、90年代を席巻したボーイズ・Ⅱ・メン。アルバムの最後に持ってくるのも、金メダルは俺たちのもんだぜ、なんて気持ちの表れなんじゃないかと勝手に深読みしちゃう(でもそうだと思う)。

最後に

⑪のジョーダン・ヒルの時に触れたデヴィッド・フォスター、実はもう1曲提供してる。セリーヌ・ディオンが開会式で歌った「The Power of the Dream」がそれ。デヴィッド・フォスター本人もピアノを弾いて登場してる。

で、実はこれ、ベイビーフェイスと共作なのね。ならばこのアルバムに収録すべき一曲だと思うんだけど、なぜ収録されなかったんだろう。セリーヌ・ディオンのアルバムにも収録されなかったし、名曲なのに不遇な扱いを受けてる(アジア盤とオーストラリア盤の「Falling into You」のみの収録だったけど2000年発売のベストアルバムで世界的にやっと発売された)。

おそらくないだろうけど、もしこのアルバムがリイシューされることがあれば、この「The Power of the Dream」が収録されることを願う。

ジョン・ウィリアムスが作曲した公式テーマ曲「Summon the Heroes」も収録されてるベスト盤がこちら。

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