MENU

『アーティストとアイウェア(カザール編)』 ブラックカルチャーと蜜月な関係のアイウェアといえばカザール ブランドの歴史と数多くのアーティストたちに愛されたモデルを紹介

アイウェアで世界的に有名なブランドといえばレイバンだけど、ブラックカルチャーのフィルターを通すならカザールが一番。Run-D.M.C.やスパイク・リーがかけてたビッグシェイプの眼鏡、って言われて頭に浮かんだものがあれば多分それがカザール。70年代の終わりにアメリカに進出してきたドイツ生まれのアイウェアブランドは、今に至るまでたくさんのアーティストと一緒にミュージックビデオや映画などに登場してきた。

概要

ブランドの概要

ブランドの誕生

顔を隠すくらいのビッグシェイプや複雑なカタチのフレームが登場し始めて、派手なアイウェアのトレンドが生まれたのは1970年代。その理由はレンズやフレームに新素材が採用されるようになって軽量化に成功したのと、ライセンス契約がこの頃から本格化してデザイナーズブランドがアイウェア業界に介入し始めたから。昔なら重くてかけられなかったような個性的な特大フレームを、色んなブランドが自己主張するかのように発表しては成功させてた。

1971年に放送が開始された「ソウルトレイン」や、70年代の「ブラックスプロイテーション」と呼ばれるブラックムービーを観れば分かるように、ブラックカルチャーでも派手なアイウェアは歓迎された様子。ソウルトレインではスティーヴィー・ワンダーやカーティス・メイフィールド、忘れちゃいけない司会のドン・コーネリアスも大きいフレームのアイウェアをかけてたし、ブラックスプロイテーションでもアフロヘアやカラフルなファッションアイテムと一緒にビッグシェイプのアイウェアが登場してた。

そんな時代の真ん中、1975年にドイツのミュンヘンで生まれたアイウェアブランドがカザール。ブランド名はデザイナーのカリ・ツァローニの名前(Cari Zalloni)からの造語。伝統的な建築デザインを学んで家具や陶器などのデザインの仕事をしていたカリ・ツァローニ、そんな人が作り出すアイウェアはやっぱり当時から他のブランドとは一線を画してた。特筆すべきは装飾美、今まで誰も気に留めなかったテンプルを建築さながら複雑な造形にして、さらに金メッキを施したりしてとってもゴージャス。機能的な側面ばっかりだったアイウェアを、ファッションアイテムに進化させた職人だったのよね。70年代のトレンドを踏襲したビッグシェイプと斬新なデザインで人気を博したカザール、1970年代の終わりには勢いそのままにアメリカへ進出。

ヒップホップとの邂逅

80年代に入るとレイバンのプロダクト・プレイスメントっていう広告手法が功を奏して、ウェイファーラーモデルが大ヒット(1983年のこと)。マドンナとかブロンディのデボラ・ハリーとか、MTV時代を象徴するようなアーティストたちもこぞってウェイファーラーをかけてた。でも黒人たちはそれには見向きもせず(まあかけてた人もいるだろうけど)、ドイツからやって来たブランドに人気が集中する。その理由はヒップホップカルチャーの台頭。

80年に初めてメジャーレーベルと契約したラッパーのカーティス・ブロウが登場してゴールド認定されるほどのセールスを記録したり、「ワイルド・スタイル」や「クラッシュ・グルーブ」といったヒップホップ関連の映画が公開されたりして、ヒップホップカルチャーの存在が幅広く認知されていった80年代。その中でB-BOYたちが着ていたファッションも注目されるようになる。

スポーツブランドやデニム、レザージャケットといったアイテムたちを着こなしていた彼ら、その中にあったひとつがカザール。ビッグシェイプが過去に流行ってたせいもあってか、当時はカザールっておじさんがかけるようなタイプのアイウェアだったらしい。でもB-BOYたちが「いやこれカッコいいでしょ」ってな感じで自分たちのカルチャーに取り入れて、オシャレアイテムとして昇華させたのが始まり。

ファットレースにカスタムしたアディダス(シェルトゥのスーパースターは耐久性が高くてダンスに向いてたんじゃないかな)、細身のデニム(おそらくLeeが多いと思われる)、そしてカザールってのが当時のB-BOY三種の神器だった様子。そのことは80年代のニューヨークのストリートを収めたジャメル・シャバズの写真集「Back in the Days」を観ればよく分かる。そのまま広告に使えるんじゃないかっていうくらい、三種の神器の着用率は高い。

それくらい流行ったカザール、今でもヴィンテージはかなり高額で取引されてるけど、当時の過熱っぷりもヤバかった。金メッキが施されてたりしてそもそもお値段高め、そして人気アイテムだったこともあって、1984年にマンハッタンでとうとうカザールを巡って殺人事件が起きる。「あいつがかけてるカザールが欲しかった」なんて理由だけで殺されるなんて冗談じゃない。ちなみにそのカザールの値段は125ドル、アディダスやプーマのスニーカーが30~40ドルで売られてた時代だからやっぱり高いんだけど、最高500ドルなんて高値で販売された時もあったらしい。

ファッションアイコンとしてのRun-D.M.C.

ここまで読んで「おい、Run-D.M.C.はどうした」って思った人もいるよね、カザールといえばRun-D.M.C.の名前がそこここで登場するし。確かにビッグシェイプのアイウェアをかけたダリル・マクダニエルズの写真はたくさんあるけど、全部がカザールじゃない。初期のアルバムジャケットを見るとテンプルの形状からおそらくカザールと思われるメガネをかけてるけど、そうじゃないシンプルなデザインのものをかけてることの方が多い。実はこれは「ULTRA GOLIATH」というモデルで、カザールとは別のブランド。実際にカザールも着用してたらしいけど、当時のマネージャーが壊しちゃって、似たような形を探して見つけたのがULTRA GOLIATHだったみたいよ。

Run-D.M.C.がカザールを身に着けていたかどうかは置いておいて、ヒップホップファッションとはこういうものだと世間に広く知らしめた功績はとても大きい。80年代初期のヒップホップアーティストたちって、70年代のファンクから継承したような派手な衣装を着ることが多かったんだけど(ジャケットやライブの写真を見るとファンカデリックそのまんま)、グループを始めた頃はそういった決まったスタイルがなくてメンバー3人の服がバラバラだったRun-D.M.C.。2回目のショーに出る前にジャム・マスター・ジェイを家に迎えにいった時、彼の私服を見てダリルとジョセフがピンと来たらしい。

黒いアディダスのジャケットにデニムを合わせて、ゴッドファーザーみたいな大きい黒い帽子をかぶり、そしてスーパースターを紐なしで履いてたジェイ。前述したようにこれらのアイテムってニューヨークの一部で既に流行ってたもの(アディダスを紐なしで履くのが流行ったのは彼の功績)。当時からオシャレなヤツとして有名だったジェイのおかげで、Run-D.M.C.のスタイルが決まったんだって。つまり観客と同じようなカッコをしてステージに上がってたんだけど、そのコンセプトはお客さんの心をグッとつかむことになる。彼らの人気が上がるにつれ、彼らのファッションも広く受け入れられるようになって、ついにはド派手な初期のヒップホップファッションは完全に過去の遺物に。Run-D.M.C.の前と後で、ヒップホップファッションの定義が変わったというのは偉業だよね。

カザールのマスターピースたち

国内外問わずたくさんのアーティストが愛用してきたカザール、今までにたくさんのモデルが登場してきたけど、70年代から80年代の礎を築いて今でも人気のあるモデルといえばこの三種。ヒップホップを含めたブラックカルチャーと蜜月の関係にあったマスターピースを紹介したい。

607

カザールといえばこのモデル、っていうくらいの知名度。Run-D.M.C.とセットでよく名前が挙がる、ジェイ・Zも愛用してることで有名。日本でも愛用者として、香取慎吾や関口メンディーの名前をよく見かける。カザールの中では比較的シンプルなフレームだけど、ちゃんとゴールドも入っててカザールらしさもある。きっと合わせやすいモデルなんだと思う。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

616

カザールの616が登場する最も有名な映像が、スパイク・リーとマイケル・ジョーダンが出演するエア・ジョーダンのCM(レジェンドシンガーのリトル・リチャードも一緒に出演するヴァージョンもある)。スパイク・リーが監督デビューを果たした「She’s Gotta Have It」にマーズ・ブラックモンっていう登場人物がいて、そのキャラでCMに出てるんだけどインパクトはすごいよね。CMも面白いしキャラも濃いんだけど、やっぱりあの眼鏡ってどこのブランドなんだろうって思った。

616の愛用者というと、個人的にはデヴィッド・ラフィンを挙げたい。伝説のグループ、テンプテーションズの初代リードヴォーカルで優男(やさおとこ)。あのキザな雰囲気とカザールのサングラスがめちゃくちゃ似合っててカッコ良かった。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

623

三つのモデルの中で、テンプルの造形がいかにもカザールって感じでゴージャズ。愛用者は20世紀のアメリカを代表するエンターテイナー、サミー・デイヴィス・ジュニア。このフレームって難易度高そうなんだけど、前述した写真集「Back in the Days」を見ると男性も女性もさらりと着こなしてる。ほんとみんなよく似合ってる。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

これらのモデルは、ヒップホップ50周年を記念したアニバーサリーエディションも発売されてる。

下記は607の50周年モデルが作られていく工程が見られる動画、こういうクラフトマンシップを見せられると胸が熱くなる。

最後に

ヴィンテージのカザールは品番が三桁の数字で、その中でブラックカルチャーと関わりの深いのが600番台のモデルたち。でもそれ以外にも魅力的なモデルもたくさんある。

カニエ・ウエストが「Touch The Sky」のミュージックビデオでかけてた901は、マイケル・ジャクソンが愛用していたモデルとしても有名。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

ビヨンセが「Upgrade U」のミュージックビデオでかけてたのは907で、90年代世代には懐かしいヴァニラ・アイスが映画「Cool As Ice」でかけてたのは958、といった具合。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング

サングラスが似合わないと思ってる人も一度カザールを手に取ってみるといいかも、きっと似合うモデルがあるはず。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

概要