MENU

『WHITE MEN CAN’T JUMP ハード・プレイ』 大ヒットはしてないけど渋めの顔ぶれが並ぶ良盤 ラップだけを収録したシャレたタイトルの続編アルバムもおすすめ(1992年作品)

概要

映画「ハード・プレイ」について

同年代で誕生日も近い、映画デビューした作品が同じ(ワイルドキャッツ)、その後も共演することが多かったりと何かとご縁のあるウェズリー・スナイプスとウディ・ハレルソン。その二人が主役を務めたバスケットボールを題材にしたコメディ映画。

賭けバスケ(こんな言葉があるか不明だけど)で生計をたててるビリー(ウディ・ハレルソン)、バスケ初心者みたいな雰囲気を出してるけど実は上手。そんなビリーをカモにしようとして、逆にカモにされるシドニー(ウェズリー・スナイプス)。

借金を返したいビリーと、家が欲しいシドニー。騙し騙され色々すったもんだした挙句、二人でチームを組んで賞金を稼ぐことになる。良い雰囲気でプレイする二人だけど、ダンクできないことをシドニーに嘲笑されてビリーおかんむり。稼いだ賞金をかけてダンクできることを証明しようとするけど失敗、全財産を失っちゃうビリー。どうなるビリー?

ウェズリー・スナイプスの奥さん役にタイラ・フェレル、ウディ・ハレルソンの彼女役にロージー・ペレスと当時ブレイクしたばかりの二人が出演してたり、NBAのスタープレイヤーが何名か出演してたりと実はとても豪華な顔ぶれ。

楽しめる内容だけど、ロージー・ぺレス扮するグロリアの、クイズ番組に出るのが夢っていう設定が微妙。途中でクイズ番組の下りがガッツリはさまれるんだけど、それまでのバスケの流れが完全になくなって何を見せられてるんだろうって気になる。それと「ハード・プレイ」って邦題がAVみたいで嫌。

ピストンズとバックスで活躍して殿堂入りした選手、ボブ・ラニアーが映画のバスケットボールコーチを務めたせいもあるんだろうけど、ウェズリー・スナイプスとウディ・ハレルソンのバスケットスキルがめちゃくちゃ高い。どんだけ練習したんだろう、元バスケ部かとか思っちゃう。

あのスタンリー・キューブリック監督が、お気に入りの映画の一つにこの映画を挙げてる。それと2023年にこっそり映画がリメイクされてて、実は人気の映画だったんだなーなんて思った。

サウンドトラックについて

サントラは全米チャートで92位、R&Bチャートで48位とそこそこのヒット。売り上げよりも特筆すべきは、サントラに続編があること。ラップナンバーだけを集めたアルバムで、その名も「White Men Can’t Rap」、なんてオシャレなタイトル!コンピアルバムでよく真似されてたのを見た、”White Men Can’t Funk”とかね。こちらはR&Bチャートで79位を記録、収録曲が6曲だけでちょっと物足りないけど良い具合の選曲。

収録曲を並べて見るとコーラスグループ多め、当時のコーラスグループブームが反映された内容だったのかもしれない。ボーイズ・Ⅱ・メンとオージェイズの新旧コーラスグループ対決みたいな感じが面白い。続編のラップアルバムは、映画の舞台でもある西海岸で活動してるアーティストが半分。でもちゃんと東海岸のアーティストもいいところを揃えてる、面白いラインナップ。

テナーサックスプレイヤーのベニー・ウォレスが映画音楽を担当。一時期ジャズシーンの第一線から退いて映画音楽に携わっていたことがあって、その数少ない作品のうちの一つがコレ。監督のロン・シェルトンとは、映画「ブレイズ」でも一緒に仕事をしてる仲。ちなみにアレサの楽曲⑨をプロデュースしたのもベニー・ウォレス、あのいい感じのサックスはもちろん本人による演奏。

トラックリスト(WHITE MEN CAN’T JUMP)

  1. RIFF – WHITE MEN CAN’T JUMP
  2. BOYZ Ⅱ MEN – SYMPIN’ AIN’T EASY
  3. QUEEN LATIFAH – THE HOOK
  4. JODY WATLEY – LET ME MAKE IT UP TO YOU TONIGHT
  5. GO WEST – DON’T EVER LET ‘EM SEE YOU SWEAT
  6. BEBE AND CECE WINANS – I’M GOING UP
  7. THE O’JAYS – CAN YOU COME OUT AND PLAY
  8. LIPSTICK – WATCH ME DO MY THANG
  9. ARETHA FRANKLIN – IF I LOSE
  10. JESSE JOHNSON – JUMP FOR IT
  11. VENICE BEACH BOYS – JUST A CLOSER WALK WITH THEE

トラックリスト(WHITE MEN CAN’T RAP)

  1. CYPRESS HILL – A TO THE K
  2. BOO-YAA T.R.I.B.E. – AREA CODE 213
  3. MAIN SOURCE – FAKIN’ THE FUNK
  4. LEVEL Ⅲ – FREEZIN ‘EM
  5. COLLEGE BOYZ – HOW TO ACT
  6. GANG STARR – NOW YOU’RE MINE

トラックリスト詳細(WHITE MEN CAN’T JUMP)

①WHITE MEN CAN’T JUMP ②SYMPIN’ AIN’T EASY

まずは本編のアルバムから、オープニングを飾る若手コーラスグループ

91年にデビューしたリフ、大ヒット曲がないので日本では知名度が低いかもしれないけど、マニアの間では人気のグループ。わたしも「Everytime My Heart Beats」はめちゃくちゃ好きな曲でよく聴いてた。そんなリフが歌う、映画のテーマ曲①。プロデューサーはダラス・オースティン、コーラスグループのプロデュースは得意。

続くボーイズ・Ⅱ・メンの②もダラス・オースティンのプロデュースで、ファーストアルバムに収録されてた曲のリミックス。彼らも91年のデビューで、この年はたくさんのグループがデビューしたコーラスグループブーム元年。そのブームを牽引してたのがボーイズ・Ⅱ・メン、人気あったよね。

③THE HOOK

ラップだけど続編ではなく本編のCDに収録

ラップ界の女王なんて呼ばれてたクイーン・ラティファの③、おまけみたいな続編のラップアルバムに収録するには申し訳なかったのかしら。多数のサントラに参加してるし、女優としても多数の映画に出演してる。ラップだけじゃなくて歌も歌えて、司会業もこなしちゃう。もはや普通にクイーン。

⑤DON’T EVER LET ‘EM SEE YOU SWEAT

イギリスのチャゲアス(と言われてるかは不明)

ソウルミュージックを取り入れた白人アーティストに、当時ブルー・アイド・ソウルなんて名称がつけられてた。そのジャンルで人気だったイギリスのポップデュオ、ゴー・ウエストの⑤。ニュージャックスイングを意識して作られてて、ブルー・アイド・ソウルの良さは全然ない。

⑥I’M GOING UP

ゴスペルのワイナンズファミリーから参加

ポール・ジャクソン・ジュニアのギターが心地よく響く、ビービー&シーシー・ワイナンズの⑥。ちなみに10人いるワイナンズ兄弟の7番目(ビービー)と8番目(シーシー)、ほぼ全員がゴスペルのキャリアあり。この曲にも数名コーラスで参加してる。この人達からゴスペルがどういうものかを教えてもらった。「Different Lifestyles」と「Relationships」は名盤、よく聴いてたもん。

④LET ME MAKE IT UP TO YOU TONIGHT ⑩JUMP FOR IT

プリンスに縁があるアーティスト達が関わった曲

80年代の歌姫と言えばジョディ・ワトリーのイメージ、ルックスもイケててダンスも上手。14歳からソウルトレインにダンサーとして出演、その後シャラマーでアーティストデビュー。すでにベテランアーティストの感ある彼女の④、制作メンバーも豪華。プリンスの幼馴染で初期の彼のバンドのベーシストだった、アンドレ・シモン(サイモンって表記もある)がプロデュース(そして元旦那)。サックス奏者のナジーがゲスト参加で、曲はあのダイアン・ウォーレンが書いてる。こういうキラキラしたサウンドって、当時のバラードの主流だったね。

ザ・タイムのギタリストで、今はディアンジェロ&ザ・ヴァンガードのメンバーでもあるジェシー・ジョンソン。ソロアーティストとしてもプロデューサーとしても活躍中で、2019年には来日してライブが行われてた。ジェシーがプロデューサーを務めた「Kool Skool」のアルバムは(1枚だけしかリリースされなくて残念)今でも好きなアルバムのひとつ。今回はソロ名義でサントラに参加した⑩、曲調も歌い方もどこかプリンスを彷彿とさせる。ちなみに、ザ・タイムのギタリストがジェシー・ジョンソンで、ドラマーがジェリービーン・ジョンソン。二人ともプロデューサーとして活躍してて、よく混同しちゃう。

⑦CAN YOU COME OUT AND PLAY ⑨IF I LOSE

アルバムの格を上げる大御所アーティスト

1958年に結成されたオージェイズだけど人気に火が付いたのは、ギャンブル&ハフがプロデュースするようになった70年代に入ってから。なかなかの苦労人グループだったけど、メンバーチェンジしながらまだ現役なのがすごい。そんなおじさん達がニュージャックスイングに挑戦した⑦、いやいやなかなかカッコいいよ。当時は、「昔から自分たちの音を持ってるアーティスト達がニュージャックスイングなんてやる必要ない」みたいな意見がよく聞こえてきた。まあそれも分かる気がするけど、これだけカッコよく歌われたらぐうの音も出ない。

飛行機が苦手なアレサ・フランクリン、なので来日したことは一度もなくて本当に残念。90年代のアレサが契約していたレーベルはアリスタレコードで、この時代は当時の流行りのサウンドを取り入れた楽曲が多かった頃。ヒット曲もあったけど、昔からのファンには馴染めないところもあったんじゃないかしら。そんなアレサが昔に戻ったような楽曲で参加してる⑨、ストリングスもサックスもまるで60年代みたいな雰囲気。ヒットを狙ってアルバムを作っていた(もしくは作らされていた)時代の、本人には息抜きになった曲だったのかな(勝手な想像)。とっても伸びやかな歌声で、ノスタルジーに浸れる素敵な曲。

⑧WATCH ME DO MY THANG

詳細不明だけどカッコいい楽曲

サントラには必ずと言っていいくらい詳細不明のアーティストが参加してる、このアルバムでは⑧がそれ。コーラスがいい感じだから女性コーラスグループと思われる。アルバム出しても良かったんじゃないかな、実は存在してるかもしれないけど。プロデューサーはデイヴ・ペンサードという人。実はミックスエンジニアが主な生業で、グラミー賞まで受賞してるやり手。

⑪JUST A CLOSER WALK WITH THEE

映画の冒頭に登場するユニット

本編最後の曲は、映画にも登場するベニス・ビーチ・ボーイズの⑪。映画のキャラの曲をサントラにも入れときましたって感じかと思ってたら、実はすごい人たちだったと知る。ビル・ヘンダーソン、ソニー・クレイヴァー、ジョン・ヘンドリックスの三人がベニス・ビーチ・ボーイズを演じてるんだけど、みなさんレジェンド級の歌手。山口百恵と桜田淳子と森昌子が、ママさんコーラスのメンバー役で映画に出演するみたいな感じ。

トラックリスト詳細(WHITE MEN CAN’T RAP)

①A TO THE K ②AREA CODE 213 ⑤HOW TO ACT

続いて続編のアルバム、まずはウェストコースト勢

90年代前半は積極的にサントラに楽曲提供してた印象がある、サイプレス・ヒルの①。サンプルソースの宝庫と言える映画、「Wild Style」のセリフから引用したタイトルみたいだけど、どういう意味なんだろう。

小錦のいとこがメンバーで、とっても親日家(住んでいたこともあるらしい)。日本とは馴染み深いサモア系の兄弟グループ、ブーヤー・トライブの②。予想できるだろうけど、エリアコード213はロサンゼルス。元プロダンサーでバンドマンだった彼ら、実はかなり踊れて演奏もできる。ウッドベース弾きながらロックダンスしたりしてる、すげえ。

現在は俳優として活躍してるロマニー・マルコが在籍してた、カレッジ・ボーイズの⑤。コーラスグループみたいな雰囲気で、ギャングスタ感は薄めの彼ら。2枚のアルバムを発表したけど、1994年に解散。もっと悪そうな見た目だったら売れてたのかな。

③FAKIN’ THE FUNK ⑥NOW YOU’RE MINE

そしてイーストコースト勢

続編アルバムからの唯一シングルカットされた、ニューヨークを拠点とするメイン・ソースの③。70年代のコーラスグループ「The Main Ingredient」の「Magic Shoes」をサンプリング、”メイン”繋がり。カッコいい曲なんだけど、ミュージックビデオの中で、多分弾けないであろう楽器をやらされてるのが気になる。本人たちも全然乗り気じゃない感じがする。

同じくニューヨークを拠点とするギャングスターの⑥、こちらもカッコいい曲。ニューヨーク生まれのレジェンド中のレジェンドなドラマー、「Buddy Rich」の「Miss Bessie’s Cooking」をサンプリングしてて、ギャングスターらしさを感じる選曲。

④FREEZIN ‘EM

最後はアトランタから

ラップグループというよりもベル・ビヴ・デヴォーみたいに、歌って踊れてラップも出来ますってグループのレベルⅢ。ラップと言えば西か東かって頃だったから、当時は受け入れられにくい雰囲気の曲だったのかもと感じる④。他の曲と比べたら、女性コーラスとか入ってたり軽めのトラックだったりして、めちゃくちゃポップ。アトランタ勢が盛り上がるのは、もう少し後のこと。

最後に

前述してるけど映画は今年リメイクされて配信中、このタイミングでオリジナル版にも脚光が当たらないかしら。そしたらアルバムのリイシューも現実味を帯びてきそう。2 in 1の形式でもいいから両アルバムともお願いしたい。映画「ハウスパーティ」もリメイクされて公開予定らしい、こんな感じでどんどん90年代が盛り上がってくれることを願う。

\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング
\楽天ポイント4倍セール!/
楽天市場
\ポイント5%還元!/
Yahooショッピング
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

概要